満員電車の中で「My car was stolen」と聞いたら、誰が盗んだかより車が盗まれたことが心配になります。新宿の会議室で「Dinner is served at seven」と言われたら、丁寧で落ち着いた感じがします。コンビニの張り紙で「The window was broken」と読んだら、窓の状態に目が行きます。
どの文も動作を受けるものが文頭にあります。動作をする人が文頭にはありません。この入れ替えが受動態(passive voice)の仕事です。
ここでは作り方の決まった形を学びます。同じ文をいくつかの時制で見ます。受動態が役立つ場面と能動態の方が伝わる場面を分けます。TOEICの文法問題や英検の英作文でもよく出る内容です。
受け手を前に出します
動作主が大切なときは能動態を選びます。受け手が大切なときは受動態を選びます。「Shakespeare wrote Hamlet」と「Hamlet was written in 1601」を比べます。前者は作者について話します。後者は作品について話します。
文をカメラと考えます。能動態ではカメラが動作主に向きます。受動態ではカメラが受け手に向きます。動作自体は同じです。焦点だけが変わります。
ニュースや科学や説明書は受動態を好みます。「A new vaccine was approved」ではワクチンが前に来ます。読み手が知りたいのはその知らせです。委員会の名前は後でもよいですし、省いてもよいです。
声に出して入れ替えを練習します。田中さんが海外出張の報告で「The chef cooked the fish」と言った場面を考えます。これを「The fish was cooked by the chef」にします。前者は誰が作ったかに答えます。後者は魚がどうなったかに答えます。
be動詞と過去分詞で作ります
受動態に必要な部品は二つだけです。使いたい時制のbe動詞(be verb)と、主な動詞の過去分詞です。この組み合わせが基本の形です。
動詞「clean」で考えます。過去分詞は「cleaned」です。ですから「is cleaned」「was cleaned」「has been cleaned」「will be cleaned」となります。この動詞では二語目はずっと同じです。変わるのはbeだけです。
不規則動詞(irregular verb)も同じです。「write」の過去分詞は「written」です。「break」は「broken」です。「take」は「taken」です。ですから「is written」「was broken」「has been taken」となります。過去分詞さえ分かれば、どの受動態も作れます。
時制が変わっても変わるのはbeだけです
過去分詞を固定すれば、時制はbeが表します。読み手は最初の語で時間を読み取ります。「The road is closed」は今のことです。「The road was closed」は過去のことです。「The road will be closed」は未来のことです。
仕組みは単純です。時制ごとに新しい受動態を覚える必要はありません。すでに知っているbeの形を使います。そこに同じ過去分詞を足します。
下の表を一つの動詞で見ます。声に出して読みます。能動態の動詞はいろいろ変わりますが、受動態の「repaired」はずっと同じです。
| 時制 | あなたが知っている能動態 | あなたが作る受動態 |
|---|---|---|
| 現在形 | They repair phones. | Phones are repaired here. |
| 過去形 | They repaired phones. | Phones were repaired yesterday. |
| 現在完了形 | They have repaired phones. | Phones have been repaired already. |
| willを使った未来 | They will repair phones. | Phones will be repaired tomorrow. |
| 助動詞を使った形 | They must repair phones. | Phones must be repaired soon. |
一つの文を三つの時制で見ます
一つの文を追うと fastest ではなく一番早く覚えられます。受け手と主な動詞を同じにします。時間だけを変えます。そうするとbeの働きがはっきりします。
まず能動態を読みます。次に受動態を読みます。印の付いた語を見ます。受け手は一度前に出たら前にいます。beの形が時間を表します。過去分詞は同じです。
京都の研究所で、水の検査を三つの時間で見ます。受け手は前に残り、beが時制を運びます。
The lab tests the water every week.
能動態の現在形です。動作主が前に立ち、動詞が習慣を表し、受け手は文末で目立ちません。
The water is tested every week.
受動態の現在形です。受け手が前に立ち、isが今の習慣を表し、testedは過去分詞のまま変わりません。
The water was tested last week.
受動態の過去形(past simple)です。isがwasに変わるだけで、同じ検査が終わった時間に置かれます。
The water has been tested this week.
受動態の現在完了形(present perfect)です。has beenが最近の検査と今の結果をつなぎ、testedは固定されたままです。
述語受け手be動詞過去分詞
byと動作主はたいてい省きます
動作主は「by」で足せます。「The window was broken by the neighbor」は誰が割ったかを示します。「The cake was made by my aunt」は作った人に敬意を表します。文法では正しいです。書き方としては省くことが多いです。
実際の使用では、byのない受動態が大半です。動作主が不明なときは省きます。「My bike was stolen」は誰が盗んだか分からないので成り立ちます。「by someone」を足しても情報は増えません。
動作主が明らかなときも省きます。「The trash has been collected」に「by the cleaners」は要りません。聞き手は誰が集めるか分かっています。動作主が重要でないときも省きます。「Tickets are sold online」は買う場所が大切で、誰が売るかは大切ではありません。
受動態を使う四つの理由
かっこよく見せるために受動態を使うのではありません。はっきりした仕事があるときに使います。得意な仕事は四つです。そのどれにも当てはまらない文は能動態のままにします。
この四つを覚えると迷いが減ります。それぞれが読み手の必要に答えます。両方の形で言ってみて、その必要に合う方を選びます。
- 動作主が不明なとき。 誰がしたか分かりません。「My wallet was taken on the bus.」では盗んだ人を名指しできないので、なくしたものを前に出します。
- 動作主が明らかなとき。 誰でも想像できます。「Dinner is served at six.」では店の人が出すと分かります。名前を出すと冗長になります。
- 動作主より結果が大切なとき。 結果の方が知らせとして重いです。「The bridge was completed in 2019.」では技術者が作りましたが、橋と年が知らせの中心です。
- 受け手に注目したいとき。 影響を受けた人に気持ちを寄せます。「Three workers were injured in the fire」では原因ではなく作業員に焦点が残ります。
実際の文で形を選びます
ここでは実際に言いそうな文で選びます。ひっかけを探す必要はありません。動作主と受け手のどちらが大切かを考えます。動作主が分かるかどうかも考えます。
問題は五つです。答えには理由が付きます。正解したときも理由を読みます。その理由が明日も使えるきまりです。
✦ 理解度チェック
形を選ぶ練習
答えの理由まで読む五問
My bike ___ last night.
The office ___ every evening.
The window ___ by the storm.
Spanish ___ in many countries.
___ the best pizza in town.
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Slova で練習する →堅い文章では動作主を隠します
科学や技術の文章は中立に見せるために受動態を使います。「The samples were heated to 80 degrees」では方法に焦点が残ります。「Patients were divided into two groups」では設計に焦点が残ります。研究者は一歩下がります。
試験や正式な報告ではこの書き方が期待されます。英検やIELTSの英作文では「It was found that」や「It was agreed that」が評価されやすいです。実験の報告でも同じです。使う場所を守ると書き慣れていると伝わります。
ふだんの分かりやすい文章では能動態が勧められます。能動態は短くて明確です。メールでは「Your ticket will be refunded」より「We will refund your ticket」が伝わります。謝るときは「A mistake was made」より「I made a mistake」が誠実です。過程と結果は受動態で書きます。人と動作は能動態で書きます。
説明書と連絡を比べます。「The button should be pressed for three seconds」は説明書に向きます。「Press the button for three seconds」は友人への伝え方に向きます。事実は同じです。読み手で調子を選びます。
二つの目的語はどちらも前に出せます
二つの目的語を取る動詞があります。「give」「send」「offer」「tell」「show」が代表です。能動態では人と物があります。「They gave her a prize」の形です。受動態ではどちらも前に出せます。
どちらの形も正しいです。「She was given a prize」は人から始めます。「A prize was given to her」は物から始めます。この後に話し続ける方を前に出します。彼女の話を続けるなら彼女から始めます。
前置詞に注意します。物が前に来るときは「to」を残します。「A message was sent to all staff」では「to」が必要です。人が前に来るときは省きます。「All staff were sent a message」には「to」がありません。この小さな違いで文が滑らかになります。
| 形 | 言える例文 | 選ぶ目安 |
|---|---|---|
| 人を前に出す | She was offered the job. | 彼女の話を続けて、次の行動を書くときに選びます。 |
| 物を前に出す | The job was offered to three people. | 仕事の話を続けて、他の応募者の話を書くときに選びます。 |
| tellとaskを使う | We were told to wait outside. | 受け手が大切で、動作主が分かっている会議室の場面で使います。 |
話し言葉ではgetを使います
話し言葉では、本ならbeを使う所に「get」が出ます。「He got fired」は「He was fired」と同じ意味です。「My phone got stolen」は「My phone was stolen」と同じ意味です。意味は受動態です。調子はくだけています。
「get」には突然や困った出来事の感じが加わります。「She got stuck in traffic」は運が悪かった感じがします。「They got married last June」は決まった言い方として覚えます。アメリカの話し言葉で特に多いですが、イギリスでも使います。
試験の書き言葉ではbeを使います。英作文では「got injured」ではなく「was injured」と書きます。報告では「got invited」ではなく「were invited」と書きます。「get」は友人との会話に残します。この分け方で両方正しくなります。
言い換えを練習します。オンライン英会話の先生には「I was promoted」と丁寧に言います。ゆいがけんたに話すときは「I got promoted」と言います。どちらも自然です。場面だけが決め手です。
受動態にできない動詞があります
どの動詞も受動態になるわけではありません。他動詞(transitive verb)だけが物に動作を渡します。「build」「make」「write」「clean」は目的語を取るので受動態にしやすいです。「A house was built」は何かを建てるので成り立ちます。
自動詞(intransitive verb)は目的語がないので前に出すものがありません。「happen」「arrive」「sleep」「fall」「go」がここに入ります。「An accident happened」を「was happened」にはできません。「She arrived late」を「was arrived」にはできません。受け手がないからです。
他動詞に見えて受動態にしにくい動詞もあります。「have」「lack」「resemble」「fit」は動作ではなく状態を表します。「She has a car」を「a car is had」にはできません。「He resembles his father」を「is resembled」にはできません。誰かに何かがされた意味がないときは能動態のままにします。
迷ったら何が動作を受けるかを考えます。「They elected her」では「her」を前に出せるので「She was elected」となります。「He laughed loudly」では前に出すものがないので受動態はできません。
定着前に直す五つの間違い
日本語話者に多い間違いを五つ直します。日本語にはない仕組みが原因です。原因が分かると直しやすいです。正しい文を二回ずつ声に出します。耳が間違いに気づき始めます。
佐藤さんがTOEICの復習でつまずく所を集めました。冠詞(article)や複数形や時制の違いに注意します。外国人のお客様の対応でも役立つ直し方です。
- 冠詞と複数形の抜け。 日本語にはaやtheがなく、複数形の印もありません。「Phone was repaired yesterday.」ではなく「The phone was repaired yesterday.」と言います。「I have three book.」ではなく「I have three books.」と言います。受動態でも「Phones are repaired here.」のように数に合わせます。
- たの影響で過去形と現在完了形が混ざる。 日本語のたは両方を表すので混ざりやすいです。「I already ate.」で済ませず、結果が今に関わるときは「I have already eaten.」と言います。受動態も「The water was tested last week.」と「The water has been tested this week.」を分けます。
- はの影響と疑問文の語順。 日本語の文末のかと違い、英語は語順を変えます。「About me, I think the plan was changed.」ではなく「I think the plan was changed.」と言います。「You were invited.」の質問は「Were you invited.」の語順にします。
- 不可算名詞とalmostの位置。 可算名詞(countable noun)と不可算名詞(uncountable noun)の区別は日本語にありません。「many informations」ではなく「much information」と言います。「an advice」ではなく「a piece of advice」と言います。「almost people were invited」ではなく「Almost all the people were invited」と言います。
- 形容詞と副詞、pleaseとcanの使い方。 日本語のい形容詞とな形容詞は英語のlyの区別に合いません。「The bridge was completed successful.」ではなく「The bridge was completed successfully.」と言います。お願いしますのつもりで「please」を重ねすぎず、許可と能力の「can」も分けます。「You can use this room.」が許可か能力かは場面で確かめます。
受動態のwas brokenとwas brokeの混同や、時制の選び方で迷ったら、短い練習を重ねるのが近道です。自分のミニコースを作る →
自分のミニコースを作る →まとめ
受動態は焦点を動かす道具です。受け手が動作主より大切なときに前に出します。形は必要な時制のbeと過去分詞で作ります。
四つの使う理由を思い出します。読み手に必要のないbyは省きます。人が動くふだんの連絡は能動態にします。この習慣で話し言葉も書き言葉も自然になります。
よくある質問
TOEICでは受動態はどう出ますか。
パート5とパート6でbeと過去分詞の組み合わせが問われます。was brokeのような形やbe抜けを選ばない練習をします。会議や案内の文では短い受動態が正解になりやすいです。
byはいつ付けますか。
名前が新しい知らせや評価になるときに付けます。「was written by Haruki Murakami」のように名前が大切なら残します。動作主が不明か明らかなときは省きます。
話し言葉のgetは使ってもよいですか。
友人との会話やオンライン英会話では自然です。「My phone got stolen」は通じます。英検やIELTSの作文と正式なメールでは「was stolen」と書きます。
現在完了形の受動態が苦手です。どう覚えますか。
日本語のたでまとめず、has beenと過去分詞の形で覚えます。「has been tested」の形を声に出します。留学の面接の前には「I have been invited」のような文で練習します。
出典
- Council of Europe. Common European Framework of Reference for Languages: level descriptions. where the passive sits across B1-B2
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4-58. practice testing and spaced review rated high utility
