友人のゆいさんが「今日は疲れた」と話しました。後で別の人に伝える時は「彼女はその日は疲れていたと言っていました」のように視点を変えます。事実は同じですが、話す立場と時間が変わります。
この変化が間接話法(Reported Speech)です。直接話法は発言をそのまま引用します。間接話法は、後から自分の立場で意味を報告します。報告動詞の said や told、asked が新しい視点を作り、動詞や代名詞、時を表す言葉がそれに合わせて動きます。
英語の会議で上司の発言を共有する時や、海外出張先で外国人のお客様の要望を社内に伝える時、オンライン英会話で昨日の出来事を話す時にも使います。最初に時制を一つ後ろにずらす動きを覚えれば、代名詞や時、疑問文や命令文の小さな変化も整理できます。
動詞を一つ後ろにずらす
報告動詞が過去形の時は、報告される動詞を一つ後ろの時制にずらします。これがこのページの中心になる規則です。現在形は過去形に、過去形は過去完了形に、will を使った未来は would に変わります。
距離をイメージすると分かりやすいです。聞いた時より後で話すので、元の文をさらに過去へ押し戻します。「I work here」は「she said she worked there」になります。「I worked late」は「she said she had worked late」になります。聞いた時と伝える時の時間差が動詞に表れます。
聞き手は、あなたが話す今を基準に時間を理解します。元の現在形のまま残すと、目の前で起きていることのように聞こえます。後ろにずらすことで、あの人が話した時点ではそうだったと伝えられます。
一つの発言を二つの形で比べます。報告動詞と中心の動詞、代名詞と時を表す語が一緒に動く点に注目します。
She said , " I am busy today ."
直接話法です。am という現在形と I と today は、あの人の時点に属します。あなたの今ではありません。
She said she was busy that day .
報告文です。am が was に後ろにずれ、I が she に変わり、today が that day に変わります。後から伝える視点に合わせています。
She asked where I lived .
疑問文の報告です。動詞は lived に後ろにずれ、語順は平叙文に戻り、do は消えます。
She told me to come back the next day .
依頼の報告です。命令が to come の形になり、me で受け手を示します。tomorrow に当たる部分は the next day にずれます。
報告動詞代名詞動詞時を表す語目的語不定詞の動詞
五つの時制変化を覚える
時制の戻し方は決まった階段になっています。現在形は過去形に、現在進行形(Present Continuous)は過去進行形に、過去形は過去完了形に、will は would に、can は could に変わります。
まずこの五つを覚えます。カバー範囲が広いからです。「I need help」は「he said he needed help」になります。「I am waiting」は「he said he was waiting」になります。「I finished」は「he said he had finished」になります。「I will call」は「he said he would call」になります。「I can drive」は「he said he could drive」になります。
他の助動詞(Auxiliary Verb)も同じ考え方で動きます。may は多くの場合 might になります。義務の must は had to になります。should と might と ought to は、すでに過去の形に見えるため、そのまま残ることが多いです。過去完了形はそれ以上後ろにずらせないので、そのまま残ります。
| 直接話法の形 | 間接話法での形 | 報告文の例 |
|---|---|---|
| present simple, I live in Leeds | past simple | He said he lived in Leeds. |
| present continuous, I am cooking | past continuous | She said she was cooking. |
| past simple, I saw her | past perfect | He said he had seen her. |
| will, I will help | would | She said she would help. |
| can, I can swim | could | He said he could swim. |
| must, I must go | had to | She said she had to go. |
この階段は、ご自身の例で練習できます。昨日田中さんが話したことを、今日佐藤さんに伝え直します。直接話法と間接話法を声に出して比べます。目で見るより、口を動かした方が一歩後ろの感覚が身につきます。
代名詞を話し手に合わせる
動詞は時間の中で後ろに動きます。代名詞は新しい話し手に合わせて動きます。いつも「今話しているのは誰か、何について話しているのか」を確認します。その上で、今の立場から代名詞を選びます。
友人の Anna があなたに「I love my flat」と話しました。あなたが兄弟に報告する時は「Anna said she loved her flat」と言います。Anna について話すので I が she に、my が her に変わります。Anna が「You can use my bike」と言った場合は「Anna said I could use her bike」と報告します。あなたが今の話し手なので you が I に変わります。
所有格や目的格も同じ考え方です。me や my、mine、you、your、we、our は新しい場面に合わせて変わります。話す前に場面を絵にします。誰が誰に話し、今は誰に伝えているのかを整理します。
- Tom があなたに話した「I will bring my laptop」をあなたが報告する時は、「Tom said he would bring his laptop.」と言います。会議室にノートパソコンを持ってくる約束を共有する場面です。
- あなたと Mia が話した「We missed our train」をあなたが報告する時は、「We said we had missed our train.」と言います。新宿で満員電車を逃した話です。あなたも含まれるので we を残します。
- Lena があなたに話した「I will text you tonight」を友人に報告する時は、「Lena said she would text me that night.」と言います。二つの代名詞が同時に変わります。
- 医師があなたに話した「You should rest」を家族に報告する時は、「The doctor said I should rest.」と言います。指示の意味は保ちながら、視点だけを変えます。
迷った時は、名前で置き換えます。まず「Anna to Sam: I will help you」と整理します。外側から報告すると「Anna said she would help Sam」になります。名前で関係を見える化してから、名前を省略します。
時と場所の言葉を遠ざける
時を表す言葉も今から遠ざけます。元の話し手は自分の立場で now や today、here を使いました。あなたは後で別の場所から話すことが多いので、そのまま残すと文が矛盾します。
today は that day や on Monday のように変えます。tonight は that night にします。tomorrow は the next day や the following day にします。yesterday は the day before や the previous day にします。now は then や at that time に、here は there に、this は that に変えます。
ペアで比べます。直接話法の「I am busy today」に対して、同じ夜の報告では「She said she was busy that day」と言います。報告文に today を残すと、今忙しい意味になります。that day にすると、あの人の日の話になります。
| 直接話法の語 | 報告文での語 | 報告文の例 |
|---|---|---|
| today, tonight | that day, that night | She said she was tired that night. |
| tomorrow, next week | the next day, the following week | He said he would travel the following week. |
| yesterday, last night | the day before, the previous night | She said she had called the day before. |
| now, here, this | then, there, that | He said he was happy there at that time. |
TOEIC や英検の文法問題では、改まった報告文で yesterday ではなく the day before、next day ではなく the following day が期待されます。日常会話で日が明らかな時は today を残すこともありますが、ずらした形はいつ使っても安全です。
疑問文は語順を戻して報告する
報告される疑問文は疑問文の文法を失います。平叙文の語順を使います。助動詞の do や does、did は消えます。疑問符も付きません。報告動詞は said ではなく asked を使うことが多いです。
まず yes か no で答える疑問文です。直接話法の「Are you tired」は、報告文では「She asked if I was tired」になります。yes か no の質問だったことを示すために if や whether を加えます。時制を戻して are を was にします。聞かれたのがあなたなので you を I にします。倒置はなく、do もありません。
次に疑問詞のある質問です。直接話法の「Where do you work」は、報告文では「She asked where I worked」になります。疑問詞の where は残します。do を落とします。主語を動詞の前に置き、「I worked」の順にします。what や when、why、who、how も同じです。時制は一つ後ろにずらします。
✦ 理解度チェック
基本の動きを確認する
実際に伝えそうな五つの文から選びます。
She said, "I am hungry." You report it later. She ___ hungry.
He said, "I finished my shift." You report it later. He ___ his shift.
She asked, "Where do you work?" You report it. She asked where ___.
He asked, "Can you help me?" You report it. He asked ___ help him.
They said, "We will be late." You report it. They ___ late.
間違えた項目は、Slova が十分の短いレッスンにまとめます。あなた自身の一週間を題材にした英文で練習できます。
Slova で練習する →この五つの解説をもう一度読み返します。間接話法の仕組みのほぼ全体が詰まっています。ご自身の言葉で説明できれば、長い報告にも進めます。
命令は tell と ask で伝える
命令や依頼は、平叙文のような時制の戻し方をしません。to を付けた不定詞に変えます。形は tell や ask に人、to、動詞の順です。「Sit down」は「she told me to sit down」になります。「Please wait」は「she asked me to wait」になります。
tell は強めに聞こえます。親や先生、上司が使います。ask は柔らかく聞こえます。初対面の人やお客様、友人が使います。文法は同じです。真ん中の人が必要です。「She told to sit down」では誰が座るのか分からないので誤りです。
否定は to の前に not を置きます。直接話法の「Do not park here」は「He told me not to park there」になります。here も there にずれます。丁寧な「Could you open the window」は「She asked me to open the window」になります。could you の丁寧な質問は、could のままではなく to 不定詞で報告します。
提案は suggest に動名詞や that 節で報告することもできますが、最初は命令を絞ります。会議やコンビニでの接客、家庭での指示は「tell someone to」と「ask someone to」でほぼ足ります。
今も正しければ現在形を残す
いつも時制を戻すわけではありません。言われた内容が今も正しい時は現在形を残せます。報告動詞が現在形の時も元の時制を保ちます。この二つの例外が文を不自然にしません [1]。
直接話法の「Water boils at 100 degrees」を一週間後に報告する時は「She said water boils at 100 degrees」と言えます。boiled に戻すと事実が変わったように聞こえます。一般的な真理や科学的な事実、変わっていないことは現在形で残します。ご自身の状況も同じです。「I live in Kyoto」が今も正しければ「She said she lives in Kyoto」と残せます。
現在形の報告動詞も時制を保ちます。「She says she is tired」や「He tells me he wants coffee」のように言います。今起きている発言を報告するので、距離を示す必要がありません。ニュースの見出しや実況も同じです。「The minister says prices will fall」では says が現在なので will を残します。
迷った時は二つ確認します。報告動詞は過去形か、内容は今も正しいかです。動詞が過去でも内容が今も正しければ、選択できます。戻す形はいつも文法的に正しいです。現在形を残すとより正確に聞こえます。試験では戻す形が通りますが、一般的な真理は現在形が高く評価されます。
say と tell を正しく使う
間接話法の say と tell は入れ替えられません。say は言葉に焦点があります。tell は聞き手に焦点があります。文法に違いが出ます。say something と言い、tell someone something と言います。
say の直後には人を置きません。「She said she was late」や「She said that she was late」、「She said to me that she was late」と言います。「she said me she was late」のように said の直後に me を置くと誤りです。人を入れたい時は to を加えます。「She said to me」は正しく、やや改まった響きです。
tell には人が必要です。「She told me she was late」や「She told us the train had left」と言います。人を落とすと誤りです。「She told that she was late」は正しくありません。誰に伝えたのかを必ず示します。
talk と speak は同じようには報告文を導きません。talk to someone about something、speak to someone のように使います。内容を報告する時は said と told と asked を使います。聞き手が期待する文法になり、試験対策にもつながります [2]。
asked の後の語順を直す
asked の後に直接疑問文の文法を残す間違いが多いです。「She asked where did I live」は二つの仕組みが混ざっています。直接疑問文は倒置して do を使います。報告文は使いません。直し方は機械的で、いつも同じ手順です。
直接疑問文から始めます。「Where do you live」です。手順の一番目は、今の視点で代名詞を選びます。you を I にします。二番目は do を落として動詞を後ろにずらします。do live を lived にします。三番目は平叙文の語順を保ちます。主語を動詞の前に置きます。結果は「She asked where I lived」です。倒置も did も疑問符もありません。
同じ手順で「What did he say」を練習します。報告文は「I asked what he had said」です。did say から did が消え、過去形が過去完了形の had said になります。「Are you coming」も練習します。報告文は「She asked if I was coming」です。are が was になり、語順が平らになり、if で yes か no の選択を示します。三つの手順はいつも同じ順番です。
この規則はイギリス英語とアメリカ英語で共通です。くだけた話し言葉で「She asked where did I live」のような倒置を聞くこともありますが、先生や試験では誤りになります。書く時は asked や wondered、wanted to know の後はいつも平叙文の語順にします。
定着前に直す五つの誤り
日本語を母語とする学習者に多い五つのつまずきです。日本語の仕組みをそのまま英語に持ち込むと起きます。今週のご自身の文で直すと、報告がすっきりします。
- 疑問文の語順を戻さない。 日本語は文末に「か」を付けるだけで語順が変わらないため、「She asked where did I live」のように倒置を残しがちです。「She asked where I lived」と言います。did を落とし、主語を動詞の前に置きます。
- say の直後に人を置く。 日本語の「私に言った」から「She said me she was tired」としがちです。「She said she was tired」か「She said to me she was tired」と言います。人を付ける形は「She told me she was tired」です。
- 時制を一つ戻さない。 日本語の「た」は過去と完了を広く表すため、「He said he will come」のように will を残しがちです。TOEIC でも狙われます。「He said he would come」と言います。can は could に、過去形は had finished のように過去完了形にします。
- 時や場所をずらさない。 日本語は「今日」「明日」をそのまま使いがちですが、報告文では「She said she would call tomorrow」のままだとカレンダーと矛盾します。「She said she would call the next day」と言います。here は there に変えます。
- tell や ask の人を落とす。 日本語は主語や目的語を省略するため、「She told to wait」や「She asked to help」のようにしがちです。「She told me to wait」や「She asked me to help」と言います。命令の報告は人をはさみます。please を残して「She asked me please to wait」にしないようにします。
直近のメッセージで誰かの発言を伝えた文を三つ見直します。一つを直接話法から間接話法に書き換えます。動詞、代名詞、時を表す語の順で確認します。短い確認を重ねると、長い復習より定着します。
苦手な形に合わせた短い練習を作ります。オンライン英会話の前の確認にも使えます。自分のミニコースを作る →
自分のミニコースを作る →結論
間接話法は視点の変え方で、新しい単語の暗記ではありません。過去の報告動詞の後では動詞を一つ後ろにずらします。代名詞は新しい話し手に合わせます。時や場所の言葉は今から遠ざけます。疑問文は平叙文の語順に戻し、yes か no の質問には if を付けます。命令は tell someone to で伝えます。今も正しいことは現在形で残し、say と tell はそれぞれの形で使います。留学の面接や英語会議の内容を短く報告する練習を重ねると、動きが自然になります。
よくある質問
TOEIC で間接話法はどのように出ますか。
Part5 や Part6 で時制の一致と say と tell の形が問われます。said の後に will が残る選択肢は誤りです。would を選びます。疑問文の報告では語順が平叙文に戻る形が正解になります。
that はいつ省略できますか。
平叙文の報告では that を省略できます。「She said she was busy」と「She said that she was busy」は同じ意味です。TOEIC では省略形が自然です。ただし、文が長い時は that があると読みやすくなります。
時制の一致は必ず必要ですか。今も正しい時はどうしますか。
過去の報告動詞の後では戻す形が基本で安全です。科学的な事実や今も変わらない内容は現在形を残せます。「She said water boils at 100 degrees」のように言えます。試験では一般的な真理の現在形が評価されます。
say と tell と ask をどう使い分けますか。
said の直後には人を置きません。told と asked の後には人が必要です。「She said she was late」、「She told me she was late」、「She asked me to wait」のように使います。日本語の「言う」をそのまま訳さず、形で覚えます。
出典
- Council of Europe. Common European Framework of Reference for Languages: level descriptions. where reported speech sits in the B1-B2 range
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4-58. practice testing and distributed practice rated high utility
