あなたが直すべき音は三つだけです。l と r、th、そして語末の子音です。この三つに強勢(stress)のリズムを足すと、オンライン英会話でも海外出張の会議室でも、言い直しがはっきり減ります。
全部を直そうとすると続きません。カタカナの五母音を英語の十以上の母音に近づける作業は、時間がいくらあっても終わりません。まずは相手の誤解を生む音だけを直します。TOEICの音読や英検の面接でも、評価されるのは滑らかさより伝わりやすさです。
このページでは口の形と最小対(minimal pair)の単語、そして短い文での練習を順に示します。田中さんが新宿のコンビニで外国人のお客様に対応する場面を思い浮かべてください。短い文が一回で通じれば十分です。
全部は直さなくてよい、通じる音に絞ります
日本語の音の数は少なく、英語の音は多いです。全部を同じ精度で直すのは現実的ではありません。あなたが使う時間は限られています。満員電車の中でできる練習にも限りがあります。
通じるかどうかを決める音は限られています。相手が聞き分けに使う手がかりは、l と r の違い、th の摩擦、そして語末が止まっているかどうかです。ここが崩れると単語そのものが別の単語に聞こえます。ここだけ直すと費用対効果が高いです。
逆に、少し日本語らしい母音が残っても文は通じます。佐藤さんが会議で「Please check this sheet.」と言う場面を考えます。sheet の母音が少し短くても、強勢と語末が正しければ相手は理解できます。完璧さより優先順位が大切です。
英語の母音は五つではありません
カタカナはア、イ、ウ、エ、オの五母音で回しています。英語はその倍以上あります。特に sit と seat、full と fool のような長さと口の広さの違いは、カタカナでは書き分けられません。
全部を覚える必要はありません。まずは次の三組だけを聞き分けます。口を縦に開けるか横に引くか、そして音を伸ばすかどうかを見ます。ゆいさんが留学の面接で自分の名前や専攻を言うときも、この三組が安定すると聞き返しが減ります。
| カタカナ | 英語の例 | 口の意識 |
|---|---|---|
| ア | cat の a、cut の u | あごを落とし、口を縦に開けます |
| イ | sit の i、seat の ee | sit は短く力を抜き、seat は横に引き伸ばします |
| ウ | full の u、fool の oo | full は短く丸めを弱く、fool は唇をしっかり丸めます |
短い文で比べます。「I live near Shinjuku.」は「私は新宿の近くに住んでいます」という意味です。live を leave のように伸ばすと「去る」に寄って聞こえます。短いか長いかを意識するだけで誤解が減ります。
練習は単語を三回ずつ言うだけにします。sit, seat, sit の順で声に出します。次に「I sat here.」のように文に入れます。単語が言えても文で崩れることが多いので、必ず文まで進めます。
lとrは舌の位置で分けます
l と r は別の音として出します。日本語のラ行で代用すると、相手には同じ音に聞こえます。light 「光」と right 「右」、collect 「集める」と correct 「正しい」が混ざります。
l は舌先を上の歯ぐきに付けます。舌先で触れたまま声を出します。「la la」と言うと舌先に振動が伝わります。light はこの触れた感じから始めます。
r は舌先をどこにも付けません。舌全体を少し後ろに引き、唇を軽く丸めます。口の中に空間を作ります。「I need rice.」は「お米が要ります」という意味です。舌を付けずに言うと通じやすくなります。
- light 「光」と right 「右」を交互に三回ずつ言います。舌先が付くか付かないかだけを意識します。
- glass 「グラス」と grass 「草」を比べます。会議室で水を頼む場面でも役立つ組です。
- 短い文は「Turn right at the station.」を使います。「駅で右に曲がってください」という意味です。文の最後まで r を崩さない練習になります。
thは舌先を歯に当てます
th には無声音(voiceless sound)と有声音(voiced sound)があります。think 「考える」は息だけ、this 「これ」は声付きです。どちらも舌先を上下の歯で軽く挟みます。s や z で代用すると別の単語に聞こえます。
口の形は大げさで構いません。鏡で舌先が見えるくらいに出します。けんたさんがオンライン英会話で自己紹介をするとき、「I think so.」が「I sink so.」に寄ると意味が取りにくくなります。舌が見えれば成功です。
最小対は think と sink、three と tree、they と day です。最初はゆっくりでよいので、舌の位置だけを守ります。慣れたら「I think three trees.」のように文でつなげます。
✦ 理解度チェック
発音の聞き分けと口の形
短い文で確かめる五問です
「Turn right at the station.」で意識することは何ですか。
「I think so.」の th で正しい口の形はどれですか。
「a cold coffee」の cold を通じやすく言うコツは何ですか。
「I want a coffee.」を自然に言うときの強さはどうなりますか。
単語は言えるのに文で崩れるとき、何を足しますか。
間違えた項目は、Slova が十分の短いレッスンにまとめます。あなた自身の一週間を題材にした英文で練習できます。
Slova で練習する →語末の子音は母音を足さずに止めます
語末に母音を足す癖は通じにくさの大きな原因です。bed が「ベッドゥ」、bag が「バッグゥ」になると、相手は文の区切りを見失います。英語は子音で止めて終わる言語です。
止め方は三つです。bed の d は舌先を歯ぐきに当てたまま止めます。bag の g は舌の奥を上げたまま止めます。cup の p は唇を閉じたまま息を止めます。音を響かせなくてよいので、止めた形を保ちます。
練習文は「I want a bag.」を使います。「かばんが欲しいです」という意味です。want の t も bag の g も伸ばしません。最後は口を閉じた形で終わります。コンビニで袋を頼む場面でもそのまま使えます。
- bed 「ベッド」と bet 「賭ける」を比べます。最後の有声と無声の違いだけを意識します。
- bag 「かばん」と back 「後ろ」を比べます。舌の奥の止め方が手がかりになります。
- 「I picked it up.」を止めて言います。「それを拾いました」という意味です。語末を止めると文が短く締まります。
強勢とリズムが文の届き方を決めます
英語は音節ではなく強勢で拍を取ります。大事な語だけを強く長く言い、残りは短く弱くします。これがリズム(rhythm)です。全ての語を同じ強さで読むと、相手はどこを聞けばよいか分かりません。
機能語(function word)は弱く短くなります。a、to、for、and は本来の形より短い弱形(weak form)で言います。「a cup of coffee」は「コーヒーを一杯」という意味です。cup と coffee が強く、a と of は短く添えるだけです。
| 強い語 | 弱くなる語 | 言い方 |
|---|---|---|
| coffee、cold、want | 母音をはっきり言い、少し長く強くします | |
| a、to、of | 短くあいまいに添えます。to は「トゥ」より「タ」に寄ります |
同じ文を三通りに言い比べます。違いは語末と強さだけです。相手の受け取り方が変わります。
I want a coldo coffee with milk.
語末に母音を足した言い方です。単語の終わりがぼやけ、相手は聞き返しやすくなります。
I want a cold coffee.
全てを同じ強さで読んだ言い方です。一語ずつは正しくても、要点が伝わらず平坦に聞こえます。
I want a cold coffee.
自然な言い方です。want と coffee が強く、語末は止まっています。注文として一回で通じやすくなります。[1]
語末強さ
ネイティブらしさは追わなくてよいです
直さなくてよいものがあります。完全なネイティブらしさです。r の響きの深さや母音の細かい色は、通じるかどうかを左右しません。TOEICや英検でもそこは評価の中心ではありません。
日本語なまりが少し残ることは問題ではありません。相手が気にするのは単語の区別と文の要点です。l と r、th、語末、強勢が整えば、多少のなまりは個性として受け取られます。
時間をかけるなら新しい単語や文型に使います。発音は三つの音とリズムに絞ります。残りは録音で崩れを見つけたときだけ直します。その方が学習全体が進みます。[2]
録音して三点だけ比べます
自分の音を録って確認する手順は短くします。長い手順は続きません。スマートフォンの録音機能で十分です。静かな会議室でなくても、自宅の一角でできます。
比べる点は三つだけです。語末が止まっているか、l と r と th の口が守れているか、強い語と弱い語の差があるかです。この三点だけを見ます。母音の細かさはこの段階では見ません。
- 短い文を一つ選び、普通の速さで読みます。「I want a cold coffee.」のように注文の文が向いています。
- 録音を聞き、書き起こした文と照らします。語末に母音が付いていないか、a が短くなっているかを確認します。
- 直す点を一つだけ決めて言い直します。三つ同時に直さず、一番誤解を生む点から直します。
- 翌日にもう一度同じ文を録ります。前日より語末と強さが安定していれば進歩です。その文を卒業して次に進みます。
文で崩れる五つの癖を直します
単語だけ練習して文で崩れる癖がよくあります。単語では口を意識できても、文では速さに負けます。必ず短い文で仕上げます。オンライン英会話の最初の一文を固定して練習すると効果的です。
- 「language を ラングウェイジ と読む」 language は「ランゲッジ」に寄せます。真ん中の gu を伸ばしません。「What language do you speak.」で文として練習します。
- 「l と r を同じ音で出す」 collect と correct を交互に言います。舌先が付くか付かないかを毎回確かめます。文では「Let me correct it.」を使います。
- 「th を s か z で代用する」 think を sink にしないよう舌先を歯に当てます。they は声付きで舌を当てます。「I think they agree.」で二つの th を続けます。
- 「全ての語を同じ強さで読む」 I want to go to Kyoto. では want と Kyoto を強くします。「京都に行きたいです」という意味です。to は短く添えます。
- 「単語だけ練習して文で崩れる」 最小対が言えたら必ず文に戻ります。「Three coffees, please.」のように数を変えて言います。録音して語末と強さを確認します。
文での崩れが直らないときは、自分の文で練習するのが近道です。自分のミニコースを作る → を押すと、苦手な音だけの短い練習が届きます。
自分のミニコースを作る →通じる三つの音から直せば十分です
三つの音と強勢のリズムが通じやすさを作ります。l と r の舌の位置、th の舌先、語末の止め方です。そこに強い語と弱い語の差を足します。これだけで言い直しは減ります。
今日は一文だけ録ります。「I want a cold coffee.」で十分です。語末と強さだけを確認します。直す点は一つに絞ります。明日の同じ文が少し安定すれば前に進んでいます。
よくある質問
カタカナ発音のままでも通じますか。
単語によっては通じますが、lとr、th、語末が崩れると別の単語に聞こえます。その三つだけは直す価値があります。
lとrは聞き分けだけでも十分ですか。
聞き分けは助けになりますが、口の形まで変えると安定します。舌先が付くかどうかを文の中でも確かめてください。
thがどうしてもsに寄ります。どう直しますか。
舌先を歯で軽く挟み、鏡で舌が見えるか確かめます。ゆっくりでよいので、thinkとsinkを交互に練習してください。
強勢が苦手です。何から始めますか。
大事な名詞と動詞だけを強く言います。aやtoは短く添えます。一文を録音して強弱の差を確認してください。
参考文献
- Council of Europe. Common European Framework of Reference for Languages: level descriptions. 音声面の伝わりやすさが段階的に示されている点
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4-58. 分散学習と確認テストの有効性
