TOEICの読解は分かるのに、英語の会議では口が止まります。その差は努力不足ではありません。学校の配点と授業の形が作った自然な結果です。
あなたは読む力と文法の知識をすでに持っています。足りないのは別の力です。自分で文を組み立てて声に出す量です。
このページでは理由を仕組みで整理します。そのうえで、中学三年分の文法 (junior high grammar)、通じる発音、短く言い切る手順、一人練習法を順番に紹介します。外国人のお客様の対応や海外出張でも使える形にします。
入試と授業が読む力を伸ばし話す時間を減らしました
あなたが読めるのに話せないのは偶然ではありません。入試と定期テストが読解と文法に配点を置いてきました。授業も読むと訳すが中心になりがちです。声に出す時間は短くなります。
一クラスの人数が多いと、一人が話す時間は数十秒になります。間違いを人前で出す機会も少なくなります。安全に黙っている方が楽になります。その積み重ねが今の状態です。
TOEICも同じ方向に働きます。TOEICは聞く力と読む力を測ります。話す力は直接測りません。高い点数を持っていても、産出の練習が別に要ります。点数と会話力は別の物差しです。
- 配点が読解と文法に寄り、話す練習の動機が生まれにくくなります。
- 授業で音読とやり取りの時間が短く、口を動かす回数が足りなくなります。
- 人前で間違える経験が少なく、正しく言える時だけ話そうとします。
田中さんはTOEIC七百点台です。読解は安定しています。しかし会議室で意見を求められると固まります。知識はあります。取り出す回路が育っていません。この状態は珍しくありません。
分かる文と作れる文は別の力です
聞いて分かる文でも、自分では組み立てられないことがあります。これは普通のことです。認識 (receptive knowledge) と産出 (productive knowledge) は別の能力です。読む時は単語と文法が助けてくれます。話す時は自分で選んで並べます。
たとえば「I have lived in Kyoto for two years.」(私は京都に二年住んでいます)は読めば分かります。しかし会議で自己紹介として出すには別の練習が要ります。主語と動詞と期間を瞬時に並べます。過去形 (past simple) と現在完了形 (present perfect) の区別もその場で選びます。
産出は自動化で伸びます。同じ型を何度も声に出します。最初はゆっくりで構いません。回数が増えると迷いが減ります。読解力とは別の回路が育ちます[2]。
| 分かる力 | 話す力 | 違い |
|---|---|---|
| 読んで意味が取れる | その場で文を組み立てる | 助けがあるかどうかが違います |
| 選択肢から選べる | 何もない所から作る | 思い出す方向が逆になります |
| 時間をかけられる | 数秒で出す | 速さの要求が違います |
ゆいは海外出張の案内を読めます。しかし受付で「会議室はどこですか」と聞けません。必要な文は「Where is the meeting room.」(会議室はどこですか)だけです。分かることと出せることの差がここにあります。
中学三年分の文法で日常会話は組み立てられます
日常会話の多くは中学三年分の文法で足ります。新しい文法を増やすより、使える形を絞ります。範囲が分かると練習が楽になります。オンライン英会話でもすぐ使えます。
中心は五つです。be動詞と一般動詞、過去形 (past simple)、現在進行形 (present progressive)、助動詞 (modal verbs)、前置詞 (prepositions)です。これで予定も依頼も説明もできます。受動態 (passive voice) や関係代名詞 (relative pronouns)は後で足せます。
仮定法 (subjunctive) や間接話法 (indirect speech)は日常の最初の一歩には要りません。英検準一級やIELTSの面接では評価されます。しかし仕事の雑談やコンビニでの対応は中学文法で回ります。まず土台を速くします。
| 中学文法 | 日常会話での使い方 | 例 |
|---|---|---|
| be動詞と一般動詞 | 状態と行動を伝える | 「I am busy today.」(今日は忙しいです) |
| 過去形と現在完了形 | 経験と結果を伝える | 「I visited Nara yesterday.」(昨日奈良に行きました) |
| 助動詞と前置詞 | 依頼と場所を伝える | 「Can you help me at Shinjuku.」(新宿で手伝ってもらえますか) |
佐藤さんは難しい単語帳を増やしていました。しかし会議では「I think this is good.」(これは良いと思います)しか出ません。単語より文型の自動化が先です。短い文を速く出す方が伝わります。
カタカナ発音が通じない理由と直す音は三つです
カタカナ発音が通じにくいのは、音の区別が日本語と違うからです。英語は強弱と母音の長さで意味を分けます。カタカナは全部同じ強さになります。そのため別の単語に聞こえます。
最初に直す音は三つに絞ります。thとrとlです。この三つは意味を変えます。たとえば「think」と「sink」は違います。「rice」と「lice」も違います。ここを直すと通じ方が変わります。
強さの置き方も大切です。英語は大事な単語を強く長く言います。日本語のように平らに言いません。「meeting」の前の部分を強くします。満員電車のアナウンスのような平らさから離れます。
- thは舌を歯の間に出し、息だけ出します。「think」(考える)が通じやすくなります。
- rは舌を丸め、lは舌先を歯茎につけます。「rice」(ご飯)と「lice」(シラミ)を分けられます。
- 強い部分を長く大きくし、弱い部分を短くします。「photograph」と「photography」の違いが出ます。
けんたは「I want a coffee.」(コーヒーが欲しいです)が通じませんでした。原因は弱い音の飲み込みです。強弱をつけると店員に伝わりました。全部をはっきり言わなくて良いのです。
話すための基礎を5問で確かめます
✦ 理解度チェック
5問の確認
中学文法と語順の基本を固めます
昨日京都に行ったことを伝えたいです。正しい文はどれですか。
会議室の場所を聞きたいです。正しい文はどれですか。
二年前から新宿に住んでいることを伝えたいです。正しい文はどれですか。
資料の確認を丁寧に頼みたいです。自然な文はどれですか。
意見を短く言い切りたいです。伝わりやすい文はどれですか。
間違えた項目は、Slova が十分の短いレッスンにまとめます。あなた自身の一週間を題材にした英文で練習できます。
Slova で練習する →長い文より短い文が伝わります
長い文を日本語で作ってから訳すと崩れます。関係が複雑になるからです。短く切ると主語と動詞が残ります。相手は要点を受け取れます。留学の面接でも同じです。
言い換えも助けになります。難しい単語が出ない時に別の言葉で回ります。「delay」を「late」に変えます。「attend」を「join」に変えます。止まらずに進めます。
相手に確認する文も用意します。「Does that make sense.」(伝わっていますか)で調整します。一方的に話し続けません。やり取りの中で直せます。
同じ欠席連絡を三つの形で比べます。どこが伝わるかに注目します。
I am sorry about yesterday Shinjuku meeting because train delay so cannot go please understand.
理由が長く主語と動詞がずれています。謝罪と欠席と依頼が一文に入り、相手は要点を拾えません。
I missed the meeting in Shinjuku yesterday.
主語と動詞が明確で、場所と時間が短く添えられています。欠席という事実が一息で伝わります。
The train was late, so I could not join the meeting.
難しい単語を使わず、遅れと不参加を二つの節で分けています。理由と結果の関係が聞き取りやすくなります。
理由が長く動詞が不安定短い動詞場所と時間言い換え
会議室での報告も同じです。「Sales increased in April.」(四月に売上が増えました)で切ります。次に理由を足します。短い文の積み重ねが説明になります。
完璧主義をやめる手順は三つです
完璧を目指すと口が止まります。手順を決めると動きやすくなります。使う文は短くします。詰まったら言い換えます。最後に相手に確認します。この三つで会話が続きます。
短い文で言い切る練習をします。主語と動詞だけでも出します。「I agree.」(賛成です)で十分な場面は多いです。冠詞 (articles) や複数形が不安定でも止めません。後から直せます。
言い換えの型を持ちます。「It is like...」(〜のようなものです)で説明します。確認の型も持ちます。「Do you mean...」(〜ということですか)で聞き返します。沈黙を埋める「あー」は減らします。
- 短い文で言い切ります。五語から七語を目安にし、主語と動詞を必ず出します。
- 難しい単語は言い換えます。知っている千語で回し、例や反対語で補います。
- 相手に確認します。伝わったかどうかを聞き、直しながら進めます。
田中さんは英語の会議で長い説明を狙いました。今は短い文を三つ並べます。「The issue is cost. The deadline is Friday. I need your help.」(課題は費用です。締め切りは金曜です。助けが必要です)で通じます。正確さより完結を優先します。
一人でも話す量は作れます
話す量は一人でも作れます。相手がいない日も口を動かします。音読とシャドーイングと独り言と録音を回します。十分間の積み重ねが効きます。
音読は中学の教科書で構いません。意味が分かる文を声に出します。シャドーイングは少し遅れて真似します。強弱とつながりを体で覚えます。独り言は今日の予定を英語にします。
録音して聞き直すと癖が分かります。主語の欠落や冠詞の抜けが聞こえます。直す点を一つに絞ります。次の録音で直します。この繰り返しが産出を育てます[1]。
- 音読を五分します。分かる文を選び、主語と動詞を意識して読みます。
- シャドーイングを三分します。音声のすぐ後を追い、強弱を真似します。
- 独り言を三分します。今日の行動を短い文で実況します。
- 録音して聞き直します。一か所だけ直し、もう一度録ります。
ゆいは通勤中に独り言をしています。「I am on the train. I will meet a client at ten.」(電車の中です。十時に客先と会います)だけです。小さな産出の積み重ねが会議での一言につながります。
会議の言い換えを自分の仕事の文で練習したい方に合っています。自分のミニコースを作る → から始められます。
自分のミニコースを作る →日本語が原因の間違いを六つ直します
日本語にはない区別が英語にはあります。その差が間違いを生みます。直す点を絞ると伸びます。ここでは六つに絞ります。どれも会議と日常会話でよく出ます。
冠詞 (articles) の欠落が最も大きいです。日本語にはaやtheがありません。「I met customer.」では不自然です。「I met a customer.」(お客様の一人にお会いしました)が自然です。可算名詞 (countable nouns) と不可算名詞 (uncountable nouns) も分けます。
たの一語が過去も完了も表す点も注意です。「I already ate.」では結果が弱いです。結果が今に関わる時は「I have already eaten.」(もう食べました)が合います。almost peopleのような語順も直します。
- 頭の中で日本語を作ってから訳す癖をやめます。 短い英語から始めます。「I missed the train.」(電車に乗り遅れました)で切ります。訳す前に出す練習が有効です。
- 主語を落とさないようにします。 日本語では主語を省きます。英語では必ず出します。「Is difficult.」ではなく「It is difficult.」(難しいです)と言います。
- 冠詞と複数形を飛ばさないようにします。 「I have three book.」ではなく「I have three books.」(本を三冊持っています)と言います。「many student」ではなく「many students」(多くの学生)を使います。
- 「I think」で文を始めすぎないようにします。 はが漏れて「About me, I think.」のようになります。意見は中身から言います。「The plan is risky.」(その計画は危険です)が直接的です。
- 沈黙を埋める「あー」を型に変えます。 「Let me see.」(ええと)や「Well...」(そうですね)を使います。会議でも自然に聞こえます。間をつなげます。
- 難しい単語を探して止めないようにします。 「many informations」や「an advice」は不可算名詞の誤りです。「a lot of information」(多くの情報)や「a piece of advice」(一つの助言)に直します。知っている言葉で言い換えます。
質問の語順も直します。日本語は文末にかに相当する助けを置きます。英語は語順を変えます。「You can join.」(参加できます)から「Can you join.」(参加できますか)を作ります。Can youの形を型で覚えます。
会議とTOEICで使える言い換えを増やします
言い換えが増えると止まらなくなります。会議では同じ意味を短い語で回します。TOEICの語彙も話す時に使い回します。覚えた単語を産出に変えます。
丁寧さはpleaseの連発では作れません。お願いしますの感覚で重ねると強すぎます。助動詞 (modal verbs) で調整します。「Could you share the file.」(ファイルを共有してもらえますか)が自然です。
形容詞と副詞の区別も整えます。日本語のい形容詞とな形容詞は-lyの区別に対応しません。「He speaks loud.」ではなく「He speaks loudly.」(彼は大声で話します)を使います。canの許可と能力も分けます。
- 遅れは「delay」が出なければ「late」で回します。「The flight was late.」(飛行機が遅れました)で十分です。
- 参加は「attend」が出なければ「join」で回します。「I will join online.」(オンラインで参加します)が自然です。
- 意見は「I think」から始めず事実から言います。「The cost is high.」(費用が高いです)が明確です。
新宿の会議で外国人のお客様に対応する場面を想定します。「I will check and email you today.」(確認して今日メールします)で約束できます。短い文でも仕事は進みます。英検やIELTSの面接でも同じ型が使えます。
まとめ
読めるのに話せないのは仕組みの結果です。テストと授業が読む力を伸ばし、話す量が足りませんでした。分かることと作れることは別の力です。
中学三年分の文法を速く出します。thとrとlと強弱を整えます。短い文で言い切り、言い換えと確認で続けます。一人練習を毎日十分重ねます。
六つの間違いを一つずつ直します。冠詞と複数形と語順から整えます。会議とTOEICの語彙を言い換えに変えます。小さな産出の積み重ねが会話を作ります。
よくある質問
中学英語のやり直しはどこから始めれば良いですか。
be動詞と一般動詞、過去形、助動詞、前置詞から始めます。短い文を声に出し、速く出せるようにします。難しい文法は後で足せます。
TOEICの点数が高いのに話せないのはなぜですか。
TOEICは聞く力と読む力を測ります。話す力は別の練習が必要です。知っている文を声に出す量を増やすと差が縮まります。
カタカナ発音でも通じますか。
ゆっくり短い文なら通じる場面もあります。thとrとlと強弱を整えると伝わり方が安定します。三つに絞って直すと効率的です。
一人練習だけで話せるようになりますか。
土台作りには十分役立ちます。音読と独り言と録音で産出を増やせます。週に一度はオンライン英会話でやり取りを試すと定着します。
参考文献
- Council of Europe. Common European Framework of Reference for Languages: level descriptions. 日常会話の土台が初級から中級の範囲にあることの裏付け
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4-58. 声に出す練習と確認テストの有効性の裏付け
