英語の会議で一番つらいのは、言いたいことがないことではなく、言い出すきっかけがつかめないことです。日本語なら相槌や表情で乗り切れる場面も、英語では一言がないと存在しない人になります。まずは出番の多い型だけを持てば十分です。
このページでは会議の流れに沿って型を渡します。入室前の雑談、意見の切り出し、割込み、聞き返し、賛成と反対、数字と資料の示し方、決定の確認、進行役の言葉、そしてオンライン会議の対処です。各場面に二つか三つの定番を覚えれば、TOEICで見る語彙とも重なり、仕事の打ち合わせでそのまま使えます。
あなたは全部を暗記する必要はありません。今日の会議で一つだけ使うと決めてください。たとえば田中さんが会議室で「Can I add something here.」と言えたら、それだけで発言者になります。小さな成功を積み重ねると、次の発言が楽になります。
雑談は30秒の定番で足ります
会議前の雑談は情報交換ではなく、話せる空気を作る作業です。天気や週末の二往復で十分です。長い話はしなくて大丈夫です。相手の発言に一言足すと会話が続きます。
定番は三つあれば足ります。「Did you have a good weekend.」は週明けの万能な一言です。相手が「Quiet one, just stayed in.」と答えたら、「Sounds relaxing.」と返せます。オンライン英会話でも同じ返しが使えます。
新宿の本社と海外拠点をつなぐ会議では、開始二分が雑談になることが多いです。無言で待つより、あなたから声を出すほうが印象が良いです。聞き取れなくても笑顔で相槌を打てばつながります。
- 「Did you have a good weekend.」(良い週末でしたか) 週明けの定番です。「How was your weekend.」より短く、答えやすい形です。
- 「How is Kyoto this time of year.」(この時期の京都はどうですか) 出張者への一言です。地名を入れると会話が具体的になります。
- 「Can you hear me all right.」(聞こえていますか) オンライン会議の開始時に使います。音声確認が雑談代わりになります。
意見は前置きで切り出します
日本語ではいきなり結論を言えますが、英語の会議では前置きがあると聞き手が構えられます。前置きは内容ではなく合図です。「I would like to.」のような短い宣言が役立ちます。声の大きさより、この合図が大事です。
型は二つ覚えてください。一つ目は「Can I share my view on this.」(この件で意見を共有してもいいですか) です。丁寧で、どの相手にも使えます。二つ目は「From my side, the schedule looks tight.」(私の立場からは日程が厳しく見えます) です。立場を添えると角が立ちません。
TOEICで見る動詞がそのまま使えます。「suggest」「expect」「concern」などです。「I suggest we start with Osaka.」(大阪から始めることを提案します) のように短く言えます。理由は後から足せば大丈夫です。
- 「Can I add something here.」(一言加えてもいいですか) 発言の合図です。短いので、緊張しても言いやすい形です。
- 「I would like to make two points.」(二点お伝えしたいです) 数を先に言うと聞き手が整理できます。長い話の前に置きます。
- 「From the sales side, we need more time.」(営業側としてはもう少し時間が必要です) 立場つきの切り出しです。反対ではなく事情として聞こえます。
割って入るときは予告を添えます
英語の会議では黙って待つと順番が来ません。割込みは失礼ではなく、予告があれば普通の行動です。ポイントは謝罪を長くしないことです。「Sorry, but.」だけで止めると、かえって強い印象になります。具体的な理由を添えます。
使える型は「Can I jump in here.」(ここで入ってもいいですか) と「Sorry to interrupt, but can I add one thing.」(遮ってすみませんが、一つ加えていいですか) です。どちらも依頼の形なので、相手は断りにくくなります。会議室でもオンラインでも同じです。
割込んだ後は本題を一文で言います。「On the cost point, I have different numbers.」(費用の点ですが、手元に違う数字があります) のように続けます。長く説明しなくて大丈夫です。まず一文を通すことが目標です。
聞き返しは短く具体的にします
聞き取れなかったときは黙るより聞き返したほうが評価されます。大事なのは「What.」と一言で返さないことです。短すぎると冷たく聞こえます。どこが分からなかったかを添えます。
型は「Could you say that again.」(もう一度言っていただけますか) と「Sorry, I missed the last part.」(すみません、最後の部分が聞き取れませんでした) です。後者は音声トラブルにも会議室の聞き逃しにも使えます。相手は嫌な顔をしません。
数字や固有名詞はつづりで確認します。「Could you spell that.」(つづりを教えていただけますか) が定番です。外国人のお客様の対応でも同じ型が使えます。分かったふりをしないことが信頼につながります。
✦ 理解度チェック
会議の言い方テスト
場面に合う一言を選べますか
発言が続く中で意見を足したいとき、会議で普通の言い方はどれですか。
長い説明の途中で一つだけ足したいとき、角が立たないのはどれですか。
音声が途切れて最後が聞こえなかったとき、自然な聞き返しはどれですか。
社名や人名が聞き取れないとき、確認として普通なのはどれですか。
強い反対ではなく、見方が違うと伝えたいとき、会議で普通なのはどれですか。
間違えた項目は、Slova が十分の短いレッスンにまとめます。あなた自身の一週間を題材にした英文で練習できます。
Slova で練習する →反対は三段階で柔らかくします
反対は内容より包み方で受け取られ方が変わります。日本語の「ちょっと」が英語では形になります。「I think.」「I am afraid.」「a bit」のような緩和の言葉です。三段階を知ると、場面に合わせて強さを変えられます。
会議で普通なのは真ん中です。丁寧すぎると自信がないように聞こえます。直接すぎると人格の否定に聞こえます。同じ予算の反対でも、言い方で印象が変わります。下の三つを比べてください。
英検の面接でも同じ調整が役立ちます。理由を添えると反対が提案になります。「because」の一文を足すだけで前に進みます。留学の面接でも、柔らかい反対は大人っぽく聞こえます。
同じ予算案への反対です。太字の部分だけが違います。受け取られ方に注目してください。
That won't work. You are wrong about the budget.
全面否定に聞こえます。予算案ではなく人を否定した印象になり、会議では強すぎます。
I see it differently on the budget. Can we look at the data again .
会議で普通の形です。見方の違いにしているので、相手は data を見直せば済みます。
I'm afraid I might be wrong, but maybe the budget is a little difficult.
丁寧すぎて弱く聞こえます。謝りながら言うので、自信がない印象になります。
断定緩和提案弱め
| 丁寧さ | 例 | 会議での受け取られ方 |
|---|---|---|
| 直接すぎる | That won't work. | 強く、相手の否定に聞こえます。会議では避けたい形です。 |
| 会議で普通 | I see it differently. | 柔らかく、議論が続く形です。まずはこちらを使います。 |
| 丁寧すぎる | I'm afraid I might be wrong, but. | 弱く、自信がない印象です。使いすぎに注意します。 |
数字と資料と決定は指さし言葉で示します
数字の説明では文を長くしないことが大事です。指さし言葉で場所を示します。「This」「Here」「On page two」のような言葉です。聞き手は資料のどこを見るかが分かれば安心します。TOEICの図表問題で見る言い方とも重なります。
型は三つです。「As you can see on page two.」(2ページでご覧のとおりです) と「This bar shows sales in Osaka.」(この棒が大阪の売上を示しています) と「Let me confirm what we agreed.」(合意内容を確認させてください) です。最後は決定の確認に使います。
進行役の言葉も定番です。「Let's move to the next point.」(次の論点に移りましょう) と「We have ten minutes left.」(残り10分です) です。満員電車で遅れた人がいても、この二つで立て直せます。短い宣言が会議を動かします。
- 「As you can see here, costs went up in April.」(ここでご覧のとおり、4月に費用が上がりました) 資料の指さしです。here が聞き手の目を導きます。
- 「This number includes tax.」(この数字は税込みです) 範囲の説明です。includes が誤解を防ぎます。
- 「So we agreed to start in May, right.」(5月開始で合意ですね) 決定の確認です。right を添えて相手の承認を取ります。
オンライン会議はトラブル用の型で乗り切ります
オンライン会議では英語力より回線のほうが問題になります。音声の途切れや画面共有の失敗は誰にでも起きます。謝り続けるより、定番の一言で対処すると落ち着いて見えます。沈黙を埋める繋ぎも用意します。
音声用は「You are breaking up. Could you repeat that.」(音声が途切れています。繰り返していただけますか) です。画面共有用は「Can you see my screen.」(画面は見えていますか) と「I will send the file after the meeting.」(資料は会議後に送ります) です。あとで送ると言えば、その場で固まらなくて済みます。
沈黙対策の繋ぎは「Let me think for a second.」(少し考えさせてください) と「Let me put it this way.」(言い換えるとこうです) です。黙る代わりに置きます。コンビニで言葉に詰まるときと同じで、時間を作る一言があると楽です [2]。
- 「Sorry, you froze for a moment.」(一瞬止まりました) 相手の映像停止の指摘です。短く事実だけを伝えます。
- 「Let me share my screen.」(画面を共有します) 宣言してから操作すると相手が待ちやすくなります。
- 「Let me come back to that later.」(その点は後で戻ります) 話を切る繋ぎです。答えられない質問にも使えます。
割込みと聞き返しだけを集中的に練習したい場合は、Slovaに伝えてください。自分のミニコースを作る → を押すと短い練習が始まります。
自分のミニコースを作る →言い方を五つ直すと会議が楽になります
日本語の癖から来る言い方を直すと、会議が一気に楽になります。どれも文法より習慣の問題です。一つずつ置き換えてください。佐藤さんのように海外出張が多い方も、ここから変えると伝わり方が変わります。
- 全文に付ける「I think.」 「I think we should, I think because.」のように全文に付けると自信がなく聞こえます。「I think we should start in May.」(5月に始めるべきだと思います) のように冒頭の一回にします。二回目からは付けなくて大丈夫です。
- 「I don't agree.」だけで終える反対 正しい文ですが、これだけでは突き放した印象です。「I see it differently. Can we check the data.」(見方が違います。データを確認できますか) のように理由か提案を足します。反対が議論になります。
- 聞き返しの「What.」 一語では命令に聞こえます。「Sorry, could you say that again.」(すみません、もう一度言っていただけますか) に変えます。sorry と依頼を足すと会議で普通の丁寧さです。
- 相槌のつもりの「Yes.」 会議の「Yes.」は同意に聞こえます。聞いているだけなら「I see.」(なるほど) や「Uh-huh.」を使います。同意するときだけ「Yes, I agree.」にします。誤解が減ります。
- 命令の前の「Please.」 「Please send it today.」はお願いしますのつもりでも、命令文 (imperative) のまま強く響きます。会議では「Could you send it today.」(今日送っていただけますか) が普通です。助動詞 (auxiliary verb) の依頼に変えます。
決まったことは声に出して固めます
会議の終わりは覚えた型を使う一番の見せ場です。決定と担当と期限を短く言い直します。「So we will start in Osaka in May. Ken will send the plan by Friday.」のように固めます。長い要約はいりません。誰が何をいつまでかが分かれば十分です [1]。
あなたは完璧な英語で仕切る必要はありません。「Let's confirm the next steps.」(次の手順を確認しましょう) の一言で進行役になれます。分からない点は「I will check and get back to you.」(確認して連絡します) で持ち帰れます。今日の一つを次の会議で使ってみてください。
よくある質問に答えます
英語が苦手でも発言すべきですか。
はい、一言で十分です。「Can I add one thing.」のような短い型なら場を止めません。黙るより参加した印象が残ります。
アメリカ英語とイギリス英語で会議の型は違いますか。
基本の型は同じです。依頼の丁寧さに差が出ます。試験ではどちらの言い回しも正しく扱われます。
TOEICの勉強は会議英語に役立ちますか。
はい、語彙と定型表現が重なります。特に日程や費用の語彙はそのまま使えます。音声問題の聞き取りも会議の聞き返しに生きてきます。
沈黙が怖いときはどうすればいいですか。
繋ぎの一言を置きます。「Let me think for a second.」で時間を確保できます。黙るより落ち着いて見えます。
出典を確認できます
- Council of Europe. Common European Framework of Reference for Languages: level descriptions. 会議のやり取りが扱われる段階の目安
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4-58. 短い想起と分散練習の有効性
