海外出張の英語は、難しい議論より段取りが中心です。入国審査、移動、ホテル、食事、挨拶、会議、支払いという順番に沿って、言うことが決まっています。あなたはその場で文を作らなくても、定型文を少し変えるだけで十分に伝わります。
このページでは、出張の流れに沿って必要な場面だけを扱います。それぞれに実際に言う短い文と、聞き取れなかったときの返しをつけます。TOEICで600点前後の方でも、そのまま口に出せる形にしています。長い説明は要りません。短く、はっきり、一つずつ言います。
入国審査は三つの質問に短く答えます
入国審査で聞かれることは、ほぼ三つに決まっています。目的と滞在日数と滞在先です。あなたは聞かれたことにだけ短く答えれば大丈夫です。余計な背景はつけません。
よくある質問は「What is the purpose of your visit.」 (ご訪問の目的は何ですか) と「How long will you stay.」 (何日滞在しますか) と「Where will you stay.」 (どこに泊まりますか) です。答えは「Business meetings.」 (商談です) や「Four nights.」 (4泊です) や「At the Hilton in Chicago.」 (シカゴのヒルトンです) のように短く言います。数字と固有名詞をはっきり言うことが大切です。
聞き取れなかったときは、黙って「Yes」と言わないことが大切です。「Sorry, could you say that again.」 (すみません、もう一度言っていただけますか) が基本です。もう少し丁寧にするなら「Sorry, could you speak a little more slowly.」 (すみません、少しゆっくり話していただけますか) を使います。審査官は言い直してくれますので、落ち着いて聞き返します。
同じ質問への三つの答えを比べます。違いは長さではなく、聞かれたことに答えているかどうかです。
Q: Business or pleasure A: Yes.
短すぎて内容が伝わりません。目的を聞かれて肯定だけでは入国理由が分からず、聞き返される原因になります。
Q: Business or pleasure A: Business. I have meetings for three days.
十分な答えです。目的と日数が一文ずつ伝わり、審査官は次に進めます。この長さが目安になります。
Q: Business or pleasure A: Business, and I will meet Tanaka who joined last year and we will discuss a new system and sightseeing maybe.
話しすぎの答えです。情報が多いほど確認が増えます。出張では短く区切るほうが信頼されます。
Q: Where will you stay A: At the Hilton in Chicago for four nights.
場所と日数をまとめた良い答えです。固有名詞と数字が入ると、そのまま記録に残せます。
questionanswer
荷物と移動は短い文で切り抜けます
荷物が出てこないときは、ターンテーブル付近の係員に伝えます。「My bag has not arrived.」 (荷物が出てきません) が現在完了形 (present perfect) の基本文です。続けて「My flight is NH12 from Tokyo.」 (NH12便で東京から来ました) と「My tag number is 123456.」 (タグ番号は123456です) を渡します。過去形 (past tense) で経緯を話すより、今困っていることを先に言います。
タクシーと配車アプリでは、行き先を短く告げます。「To the Hilton in Chicago, please.」 (シカゴのヒルトンまでお願いします) で十分です。配車アプリで運転手に会えないときは「I am at Terminal 2, Exit B.」 (第2ターミナル、B出口にいます) と「I am wearing a gray coat.」 (灰色のコートを着ています) が役立ちます。住所はメモを見せながら言うと間違いが減ります。
聞き取れないときの返しは、移動中も同じです。「Sorry, I did not catch that.」 (すみません、聞き取れませんでした) と言って、相手に言い直してもらいます。料金や時間の数字は「Could you write it down.」 (書いていただけますか) と頼むと確実です。あなたが言い直すときは、ゆっくり区切ります。
- 「My suitcase is missing. My flight is NH12.」 (スーツケースがありません。NH12便です)。最初の一文で状況、今の困りごとを伝えます。
- 「To downtown, please. How long does it take.」 (市内までお願いします。どのくらいかかりますか)。行き先と所要時間を分けると運転手が答えやすくなります。
- 「Please stop here. I will get off here.」 (ここで止めてください。ここで降ります)。降りるときは短く二文にします。
チェックインと部屋の不具合を伝えます
チェックインでは、名前と予約内容を先に言います。「I have a reservation under Sato.」 (佐藤の名前で予約しています) が基本です。綴りは必ず言えるようにします。「S as in Singapore, A, T as in Tokyo, O.」 (SはシンガポールのS、A、Tは東京のT、Oです) のように言います。パスポートを出しながら「Here is my passport.」 (こちらがパスポートです) と添えます。
部屋の不具合は、感情を入れずに事実だけ言います。「The shower does not work.」 (シャワーが出ません) や「The Wi-Fi is not working in my room.」 (部屋でWi-Fiがつながりません) のように言います。続けて希望を一つ言います。「Could you check it.」 (確認していただけますか) か「Could I change rooms.」 (部屋を変えていただけますか) です。助動詞 (auxiliary verbs) の could を使うと、丁寧で落ち着いた頼みになります。
丁寧にしようとして please を連発すると、かえって強い命令に聞こえることがあります。please は文の最後に一度だけにします。「Could you check it, please.」で十分です。何度も please を重ねるより、could や would を使うほうが自然です。
| 言いたいこと | そのまま使える文 | 訳と注意 |
|---|---|---|
| 名前と予約を伝える | I have a reservation under Sato. S as in Singapore... | 佐藤で予約しています。綴りまで言うと早いです。 |
| 不具合を伝える | The air conditioner is too noisy. Could you check it, please. | エアコンがうるさいです。確認をお願いできますか。 |
| 朝食と時間を聞く | What time is breakfast. Where is it. | 朝食は何時ですか。どこですか。短く区切ります。 |
朝食とレストランは注文が言えれば十分です
朝食会場では、人数と希望を短く言います。「Table for two.」 (2名です) や「No reservation. Is it OK.」 (予約なしですが大丈夫ですか) で入れます。ビュッフェか聞きたいときは「Is this buffet style.」 (これはビュッフェですか) と聞きます。可算名詞 (countable nouns) と不可算名詞 (uncountable nouns) の区別はここで役立ちます。「a coffee」ではなく「a cup of coffee」と言うと自然です [1]。
注文は指さしと短い文でできます。「I will have this one.」 (これにします) や「The salmon, please.」 (サーモンをお願いします) で十分です。焼き加減や変更は後から足します。「No cheese, please.」 (チーズ抜きでお願いします) や「Dressing on the side, please.」 (ドレッシングは別添えでお願いします) です。店員が早口のときは「Sorry, could you say that again.」で聞き返します。
支払い前の確認も短くします。「Is service included.」 (サービス料は含まれていますか) と聞くと、チップの混乱が減ります。アレルギーは最初に言います。「I am allergic to peanuts.」 (ピーナッツのアレルギーがあります) は命に関わる文なので、はっきり言い切ります。
挨拶と名刺交換は日本式を少し変えます
取引先では、最初の30秒が大切です。「Nice to meet you. I am Sato from Tokyo.」 (お会いできて光栄です。東京から来た佐藤です) と名乗ります。役職は短く足します。「I am in charge of sales.」 (営業を担当しています) で十分です。相手の名前が聞き取れなかったら、その場で「Sorry, could you tell me your name again.」 (すみません、お名前をもう一度教えていただけますか) と聞きます。
日本の名刺交換の作法は、そのまま持ち込まなくて大丈夫です。両手で差し出して一礼する形は丁寧ですが、海外では少し驚かれることもあります。片手でも失礼にはなりません。大切なのは、渡しながら名前と会社を口に出すことです。「Here is my card.」 (こちらが私の名刺です) と言って手渡します。受け取ったカードはすぐしまわず、机の上に置いて会話します。
about をつけた「About me, I think...」のような言い方は、日本語の「私は」を直訳した形で、不自然に聞こえます。主語をはっきりさせます。「I think this schedule works.」 (この日程で大丈夫だと思います) のように言います。冠詞 (articles) の a や the が抜けると意味がぼやけるので、「a meeting」「the contract」のように意識します。
- 「Thank you for meeting me today.」 (本日はお時間をいただきありがとうございます)。初対面の挨拶の定番です。
- 「Here is my card. My email is on it.」 (名刺をお渡しします。メールアドレスが載っています)。連絡先まで案内できます。
- 「Could I take your card.」 (名刺をいただけますか)。丁寧に頼むときは could を使います。
会議の始めと終わりを定型文で回します
会議は始めと終わりが決まれば進めやすくなります。始めは「Shall we start.」 (始めましょうか) や「Today we will discuss delivery dates.」 (今日は納期について話します) です。自己紹介の後は「I will keep it short.」 (短く話します) と添えると聞き手が安心します。オンライン英会話の練習でも、この始めの一文だけ先に用意します。
途中で分からないときは止めます。「Sorry, I did not follow. Could you explain that part again.」 (すみません、理解できませんでした。その部分をもう一度説明していただけますか) が使えます。反対や提案は短く言います。「I see your point. How about next Friday.」 (ご意見は分かります。来週金曜日はいかがですか) のように、受けてから提案します。関係代名詞 (relative pronouns) を使った長い文より、短い文を二つ重ねるほうが伝わります。
終わりは次の一手を残します。「So we agreed on May delivery.」 (では5月納品で合意ですね) と確認し、「I will send the minutes tomorrow.」 (明日議事録を送ります) と言います。別れ際は「Thank you for your time.」 (お時間をありがとうございました) で締めます。
✦ 理解度チェック
会議と出張の5問
短い文の選び直しで確認します
会議を始めるとき、最も自然な文はどれですか。
相手の説明が分からなかったとき、よい聞き返しはどれですか。
チェックインで予約を伝えるとき、よい文はどれですか。
アレルギーを伝えるとき、正しい文はどれですか。
水をもらうとき、最も丁寧で自然な文はどれですか。
間違えた項目は、Slova が十分の短いレッスンにまとめます。あなた自身の一週間を題材にした英文で練習できます。
Slova で練習する →支払いと体調不良は言い切ることが丁寧です
支払いでは、領収書の言い分けが大切です。レシートは receipt、請求書や伝票は bill です。レストランで「Check, please.」と言うと伝票の意味になります。経費精算用の領収書がほしいときは「Could I have a receipt, please.」 (領収書をいただけますか) とはっきり言います。bill と言うと請求書が出てきて混乱します。
タクシーやホテルでも確認は短くします。「Could I pay by card.」 (カードで払えますか) と「Could I have an itemized receipt.」 (明細つきの領収書をいただけますか) を使います。金額が違うときは「Sorry, this amount looks different. Could you check it.」 (すみません、金額が違うようです。確認していただけますか) と伝えます。can より could のほうが、許可を求める場面では柔らかくなります。
体調を崩したときは、遠慮せず言い切ります。「I feel sick. I need to rest.」 (気分が悪いです。休む必要があります) や「I have a fever. Could I see a doctor.」 (熱があります。医師に診ていただけますか) です。会議室で倒れるより、早めに伝えるほうが相手も助かります。薬の説明はメモを見せます。「I take this medicine.」 (この薬を飲んでいます) と現物で伝えます。
| 場面 | 短く言う文 | 補足の訳 |
|---|---|---|
| 領収書がほしい | Could I have a receipt, please. | 領収書をください。receipt がレシートです。 |
| 伝票を見たい | Could I have the bill, please. | お会計の伝票をください。レストランで使います。 |
| 体調が悪い | I feel dizzy. I need to sit down. | めまいがします。座る必要があります。言い切ります。 |
出張前の英語だけを集中的に声に出したい方は、場面別の文で口慣らしができます。自分のミニコースを作る →
自分のミニコースを作る →Conclusion
海外出張の英語は、短く区切って丁寧に言うことが基本です。入国審査では聞かれたことにだけ答え、移動とホテルでは固有名詞と数字をはっきり言います。食事と会議は定型文を使い、分からなければすぐに聞き返します。
丁寧さは please の数ではなく、could や would の選択で決まります。名刺は日本式にこだわらず、名前と会社を口に出して渡します。領収書は receipt、伝票は bill と言い分けます。あなたの出張が、落ち着いた短い文で進みます [2]。
よくある質問
入国審査で英語が聞き取れないとき、どうすればよいですか。
黙って肯定せず、「Sorry, could you say that again.」と聞き返します。ゆっくり言ってほしいときは「Could you speak a little more slowly.」を使います。パスポートと滞在先のメモを見せると伝わります。
名刺は両手で渡さないと失礼ですか。
海外では片手でも失礼になりません。渡しながら「Here is my card.」と名前と会社を言うほうが大切です。受け取ったカードはすぐしまわず、机の上に置いて話します。
レストランで receipt と bill を間違えるとどうなりますか。
receipt は持ち帰る領収書、bill はその場の請求書や伝票です。「Could I have a receipt, please.」と言うと経費精算用がもらえます。伝票が見たいときは bill を使います。
TOEICの勉強は出張英語に役立ちますか。
役立ちます。定型文の聞き取りと語彙はTOEICのリスニングと重なります。会議室での短いやり取りや、ホテルでの案内文は、TOEICの Part 2 と Part 4 の練習にもなります。
出典
- Council of Europe. Common European Framework of Reference for Languages: level descriptions. 出張の定型文が A2からB1 の範囲に対応することの根拠
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4-58. 声に出す練習と確認テストが有効なことの根拠
